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静♀臨/微裏










俺、折原臨也はセックスをしたことがない。いわゆる処女だ。
生まれて二十数年間そういう面に関しての誘いがなかったといえば嘘になる。ただ俺は人間が好きだけどセックスがしたいとは思わなかった。

「折原臨也が処女だなんて信じられない!」と思う人間もいるだろう。しかし誰がなんと言おうと俺は処女だ。この年で処女は貴重品だ。なんなら新羅に聞いてみればいい。
「臨也って一度セックスしたらそこから先は落ちるとこまで落ちそうじゃないか。違う意味ではとっくに落ちてるけど性的な面では全然だから処女だよ間違いない」とか言うだろうから。というか実際俺が言われた。

だけどそんな俺も近々処女を捨てる。ひょんなことから付き合い始めたシズちゃんがついにセックスがしたいというようなオーラを出し始めたからだ。口で直接は言わないけどわかる。シズちゃんわかりすぎだもん。

俺はシズちゃんとならセックスしてもいいかなって思ってるけど、初めてだ。そしてシズちゃんもおそらく初めてだ。お互い初めて同士…というのは少女漫画なら喜ばしい展開なんだろうけど実際はかなりめんどくさいだろう。


博識を自負する俺だけど性関連についてはさして詳しくない。素敵で無敵な情報屋さんだって必要ないことは知らないんだよ。

……そんなわけで、俺はセックスを知るために勉強していた。何事も形からだ。
しかし。


「うわ…何これ…」


手っ取り早く知るために…とネット上にあげられているアダルト動画を見たのは失敗だった。

あんあん喘いでわざとらしく腰を振る下品な雌。脂ぎった顔の太っていて体毛の濃い見るからに醜男な雄。とても見るに耐えなかった。耐えなかったんだ。耐えなかった、はずなのに。

結合部がアップされたとき俺は画面に食いついていた。使い古してくすんだ色をした秘肉の中にそこだけ全く別の色をした陰茎が出入りしている。
俺もこんなことをするのだろうか。そりゃそうだ、セックスとは女性器に男性器を突っ込む行為なのだから。

シズちゃんの性器が俺の中に埋め込まれるってどんな感じなんだろう。画面の男女は俺とシズちゃんに当てはめるには到底不可能だから皆目見当もつかない。
怖い。けれど、知りたい。


「シズちゃんとセックス…したいな…」
「本当か?」
「シズちゃんとなら…って、ええ!?」
「よぉ」



振りかえればそこにシズちゃんがいた。なぜだ。あ、そういえば鍵をしめていなかったかもしれない。不法侵入はいつものことだから別にかまわない。ただタイミングが悪すぎる。

俺はつけたままだった動画を閉じてすぐにシャットダウンしたけれど、時はすでに遅かった。
シズちゃん顔真っ赤。なんだ、俺はどうすればいいんだ。


「…シ、シズちゃん。誤解されないように言うけど俺はいつも真っ昼間からAV見てる訳じゃないんだからね。これは…そう、人間観察の一種みたいな…」
「んなことはどうでもいい。俺とセックスしたいってのはほんとか」
「え……あ、うん…」
「そっか」


…………「そっか」ってなに。俺泣きそうなんだけど。

シズちゃんの手が俺に触れる。あまりにも優しく触るからドキッとしてしまった。


「臨也、俺はシたい。今すぐシたい。シたいが…手前が嫌ならしない。どうする?」
「どうするって…」


今すぐ…って、今すぐだよね。ああ、まだ陽も高いのに。けれど…嫌じゃなかった。
俺は「いいよ」と呟いた。小さな声だったけど耳のいいシズちゃんはそれでも聞こえたみたいだ。


「本当にいいんだな?」

「うん。だから…優しくしてね?俺の初めてあげるんだから」
「……………………なるべくがんばる」


…その間は一体なんなの。
だめだ、やっぱまだだめだ。俺ひとりが勉強してもだめだ。


「うりゃ」
「!?」


俺は唐突に服を、そしてブラを一緒にたくしあげて裸の胸をシズちゃんの眼前にさらけ出した。恥ずかしい。けどシズちゃんは即行で目をそらした。ちゃんと見たか知らないけど耳まで真っ赤だ。
……こんなんでセックスできるわけないじゃん。


「シズちゃん、セックスはまだ無理だ。俺と勉強しよう」
「勉強!?」
「そう。じゃないと俺もシズちゃんも絶対困るって…」
「…おう」


シズちゃんとセックスをするための道のりはまだまだ遠いようだ。










梨紅様に捧げます。





 


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