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♀静♀臨/百合/甘










「好きだ、愛してる。俺は世界中の誰よりも絶対に臨也を愛してるんだ」


ぎゅうっと後ろから抱き締められ、耳に直接吹き掛けるように低音ボイスでこのような甘い言葉を吐く男がいたら多少はクラッときてしまいそうだ。そう臨也は思う。
しかし今臨也にこの言葉をかけたのは女である。しかも抱き締めたどさぐさに紛れて臨也の胸を鷲掴み、耳朶に軽く歯を立て官能を誘い出すような変態女だ。

臨也はぺちんと自分を抱き締めている女の腕を叩き離れるように促す。


「シズちゃん、だめ。お触り禁止」
「……はなしたくない」
「だぁめ」
「………はなしたくない!」
「わかった!わかったから力緩めよう俺死ぬから!あとせめて胸から手離して!」


子供のように引っ付く静雄をなだめれば、解放はしなかったが臨也の胸から手は離れていった。その分臨也の腹にまわされた手と胸の下にまわされた手の力が強まり、より静雄と密着するように抱き込まれる。


「あ、下乳あたっていいなこれ」
「ねぇシズちゃん、女同士でも許されることと許されないことがあるんだよ?」
「俺が臨也を抱くのは許されることだろ?」

「抱くの意味が健全ならね」


座った静雄な足の間に収まっている臨也はやれやれというように肩を落と……そうとしたが、そうすると静雄を喜ばせることになるのでやめた。本来なら臨也は「自分の下乳触って楽しんでろ!」と言ってやりたいところだが、小学生並みの膨らみしかない静雄に言うのはあまりにも酷なので口にはしないでいる。静雄本人は胸の大きさなど臨也の胸以外全く気にしていないのだが。


「少しくらいは女の子らしくしてみたら?足広げすぎではしたないよ?」
「どうせズボンだし平気だろ」
「ズボンでも駄目。女の子という自覚をもとう」


静雄はその名の通り静かではないが男らしい性格をしていた。容姿は間違いなく美人なのだが中性的で、バーデン服を着ていると元から無い胸も相まって男のようにも見える。
それにくわえこの性格にこの口調だ。本人は男装しているわけではないが、彼女の知人以外はだいたい「池袋の自動喧嘩人形は男」だと思っているのだった。


「男の子に見られたいってわけじゃないでしょ?シズちゃん甘いものも可愛いものも大好きなのに、なんでそんな格好してるかなぁ…」

「この方が色々便利なんだよ。暴れまわるときスカートだったら動きづらいしめくれたら困る」
「…暴れまわることを前提としていることに突っ込んだ方がいいのかな」
「それに」
「わっ」


静雄が臨也から手を離し体をひっくり返らせる。そうして向かい合う形になった臨也をまた抱き直し、そのまま自らの体をを後ろに倒した。臨也が静雄に覆い被さるような体勢になり、臨也は自分より大きな体の上で硬直することになった。


「し、ずちゃ…?」
「俺がこういう格好してたら、俺が臨也の彼氏に見えるだろ?虫除けだ虫除け」
「な…!」
「顔真っ赤だぞ」
「うるさい!」


静雄の言葉にたまらなく恥ずかしくなった臨也は隠すように自分の顔を静雄の胸に押し付けた。薄い胸はバーテン服の上からでは存在を知ることはできなかった。


「馬鹿だよ、馬鹿。どうせみんな俺たちのことはただの殺し合いしてる男女にしか見てないよ」
「は?どう見たって熱烈な愛情表現だろうがあれは」
「どう見たって殺意100%だと思われてるよあれは」
「マジかよ」


臨也の下で静雄は困ったような顔をする。本当に気づいていなかった静雄は天然なのか、それともただの馬鹿なのか。

臨也は溜め息を吐きながら静雄の綺麗な頬を撫でる。


「ねぇ、男と女じゃなきゃ駄目なの?女同士じゃ付き合ってるって公言するのイヤ?」
「イヤじゃねぇよ!でも手前が嫌がるんじゃねぇかって、思って…」
「いい?シズちゃん」


臨也の小さな手が静雄の両頬をとらえる。その瞳は確かに真剣だった。


「俺はシズちゃんが好きなの。人にどう思われようが関係ない」
「…いざやぁっ!」
「っ!」


ぐるんと臨也と静雄の位置が反転する。先ほどとは違い静雄を見上げるようになった臨也の顔は朱に染まっていた。


「女同士でもいいんだよな、そうだよな」
「うん。何も我慢しなくていいんだよ。可愛い服とかお揃いのとか、いっぱい着てもいいんだよ」
「ああ、もう我慢しねぇ」


それはぱっと見は感動的なシーンだった。…静雄の手が臨也の胸に置かれてなければ。


「…しーずちゃーん?」
「もう我慢しねぇ。だからまず…食わせろ」
「ちょ…!それ違うからぁあああぁあ!」


翌日から、バーテン服にスカートの金髪美女が折原臨也と共に仲良く現れるようになったそうな。










りあ様に捧げます。





 



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