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臨也幼児化/来神組/ワゴン組









「しうちゃん」


ぎゅう、と俺の手を握るちびっこい存在にめまいがした。おい、こんなのありえないだろ。


「おい新羅…一体いつになったらこいつは戻るんだ…?」
「たぶんそんなに長くはかからないと思うけど……」
「しんらぁ、おしっこ」
「ああうんトイレ連れてくねちょっと我慢してね!」


新羅が俺の手からそいつを引き離し慌ててトイレに連れていく。ああ、本当に信じらんねえ。あのガキは、驚くことに折原臨也だった。

新羅の親父だかが変な薬を作って、面白そうだからと新羅が臨也を実験台にしたら小さくなってしまったらしい。見た目からすると5歳くらいか。20年近く若返ったことになる。
小さくなったことで頭の中身も5歳時レベルになったらしい。あいつも昔は可愛かったんだな。ついそんなことを思ってしまう。

トイレから臨也が出てくると、一目散に俺に向かって走ってきた。


「しうちゃあんっ!ちゃんとおててあらったの!えらい?いざやえらい?」
「ああえらいな、いい子だ」


頭を撫でてやると嬉しそうに笑った。ふと新羅を見ると臨也とは違う意味合いで笑っていた。


「…なんだよ」
「いやぁ、元が臨也でも小さいと静雄もキレないのかと思ってね」
「だってこいつうざくねえだろ」


妙に理屈がかった言い回しをしない、素直でありのままの言葉を紡ぐ幼い臨也をうざく思うことはなかった。何がどうしてあそこまでねじ曲がった性格になってしまったのか甚だ疑問だ。


「しうちゃん、いざやおそといきたい。だめ?」
「…外に出していいのか?」
「静雄がちゃんと見ててくれるんならね」
「じゃあ行くか」
「うんっ」


どうやら俺は小さい臨也には甘いらしい。手を繋いで歩くには少々身長差が厳しすぎたから、肩車してやることにした。ずっと高くなった目線に臨也はきゃいきゃい騒いでいた。





外に出ればみんな俺たちを見ていた。そうだよな、平和島静雄が謎の子供を肩車。セルティからダラーズの掲示板が俺と臨也の話で持ちきりだとメールがきてた。

外に出たのはいいが何をするべきか。まったくの無計画で出てきてしまった。


「どこか行きたいとこあるか?」
「しうちゃんがいきたいとこならどこでもいーよ」


ちくしょう可愛いなこの野郎!
この可愛さが元に戻っても続けばいいのにな。しかし嬉しいんだが困る台詞だ。
いかんせん俺に行きたい場所がない。マックでも行くか。元の臨也なら嫌がるだろうが、今の臨也なら喜ぶかもしれない。

このへんにマックはあったか。辺りを見渡したそのときだった。


「きゃー!シズちゃんが子供を肩車してるわ!誰との子供!?イザイザ!?イザイザとの子供よねっ!?子供ができたなら…いいえ、妊娠していた段階から教えてくれればよかったのに!出産祝いも渡してなかったじゃない!結婚式の連絡もなかったし……ああ、できちゃった婚なのね!これから結婚するのよね!!イザイザのドレスは私が作るわあああ!!」
「狩沢さん落ち着いてください臨也さんは子供生めません!!」


無駄にテンションの高い黒ずくめの女が怖い勢いでまくし立てながら近づいてきた。ビビった。
よく見れば門田とよくいるやつだった。狩沢だ。後ろからげんなりした表情で遊馬崎と門田もやってくる。


「悪いな静雄、狩沢は誰にも止められない」
「いや…別にいいけどよ…」


誰が見たって狩沢を止めるのは至難の技に違いない。その狩沢はといえば、きゃあきゃあ言いながら臨也に話しかけてきた。


「ねえ、お名前なんていうの?サイケたん?日々也たん?ろっぴたん?」
どっから出てきたんだその名前。


「おねーちゃん、おれ、いざやっていうの」
「臨也…?シズちゃんダメじゃない!」


ガッ!と狩沢が俺の胸ぐらを掴んだ。女に胸ぐら掴まれたのなんて初めてだった。


「奥さんと同じ名前をつけるのはどうかと思うわ!それともイザイザとの子じゃないの!?それでもイザイザのことが忘れられなくて臨也って名前にしたの!?ねえどうなのよ!」
「こいつは俺の子供じゃねえよ臨也本人だ!」
「え」


めんどくさいが事の経緯を説明した。信じられないような話だが事実なんだからしょうがない。


「そうか…岸谷がまたやったのか…」
「ゆまっちどうしよう幼児化とか幸せすぎて私の熱いパトスがほとばしるわ」
「ノーコメントでお願いします」


狩沢の暴走はおさまらず、遊馬崎と渡草が引きずるように連れていった。「まあ頑張れよ」と言い残して門田も去っていった。


「びっくりしただろ臨也」
「ちょっぴりー。だけどすき」


俺の上で臨也は楽しそうに笑う。


「しうちゃんのほうがずぅっとすきだけどね!」


お願いだから一生このままでいてくれ。










かーみ様に捧げます。





 


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