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静臨/夫婦/子持ち(静也)










おれの朝は一杯のコーヒーから始まる……とかハードボイルドなことを考えながら、カーテンから漏れでる陽光に照らされて目が覚めた。平和島静也八歳、休日の朝はのんびり始まる。もちろんコーヒーなんて飲めやしない。

時計を見れば7時をちょっと過ぎた頃だった。平日ならもう学校があるから起きなきゃいけないけど今日はその心配もない。
もう一眠りしようと体を横向きにしてから、そこに母さんがいることに気づいた。

……めずらしい。母さんが俺より遅いだなんて。そしてもっと起きるのが遅い父さんがいない。耳をすませばシャワーをする音が聞こえた。ははん、そういうことか。

布団に隠されていて下はわからないけど、母さんのパジャマの上は乱れていておっぱいがギリギリ隠されているようなものだった。真っ白い肌にいくつもの赤い鬱血。目のやり場に困る。
どうやらおれが寝てる間に昨晩もお盛んだったらしい。おれに弟か妹ができる日もそう遠くはないかもしれない。

まだ若くて扇情的な母さんの肢体を隠すように布団をかけ直して、眠い目を擦りながらベッドから出た。

母さんはとても疲れてて、今日はきっと起き上がるのも難しいだろうからおれが朝ごはんを作らないと。料理が得意ってわけじゃないけど、同い年のやつらと比べたらまあなかなかのものだと思う。危ないからって包丁すら持たされたことがないやつも多いけどおれは違う。いざというときのためにと母さんにナイフの使い方を叩き込まれているから。

キッチンまでふらふら行って、冷蔵庫の中身を確認する。確認した。確認したんだけど。


「……何もねえ」


なんということでしょう。冷蔵庫の中身は空だったのです。いや、牛乳はある。むしろ牛乳しかない。牛乳だけで朝ごはんが作れるか。

そういえば最近仕事がたて込んでるだかで母さんはろくに外に出なかった。つまり買い物なんてしていない。よく昨日までもったなと思う。
材料を買いに行くにもスーパーはまだ開いてない。コンビニに行けばまあ売ってるけどそれなら適当にパンを買った方が早い。それ以前に小遣い日を三日後に控えてるおれの財布には、ポテトチップスを一袋買えるか買えないかくらいのお金しか入ってなかった。

仕方ないから今朝は牛乳たっぷりのカフェオレで済ませるしかない。

おれの朝は一杯のカフェオレから始まる……似非ハードボイルドだ。


「……ん、静也か?何してんだよ」


コーヒー豆を探しているといつのまにバスルームを出たのか父さんがいた。腰にタオルを巻いて、まだ髪からは水滴がポタポタ落ちている。ちゃんと拭けよ大人なんだから。


「朝ごはんどうしようかなって思って。父さんはどうするの?」
「俺はトーストでいい」
「食パンないけど」
「えっ」


父さんはキッチンにくると辺りを見渡した。そんなことしてもないものはない。チッ。ひとつ舌打ちをして父さんはタオルを投げ捨てた。……投げ捨てた!?


「ととととと父さん!?なんでタオル……!!」
「あ?着替えるからに決まってんだろ」
「じゃあ着替え取りに行くまでタオルしてようよ!」


突如フルチンになった父さんはでっかい股間のバズーカを揺らしながら自室へ向かっていく。父さんいくら親子でもしていいことと悪いことがあるよ。

子供らしからぬため息をつくと、廊下の方から高い悲鳴が聞こえた。


「キャ――――――――!」
「母さん!?」


この声は間違いなく母さんだ。おれは慌てて父さんの後を追った。

リビングと寝室のちょうど中腹。そこにいたのは床にへたりこんだ母さんと、さっきとは形状の違うバズーカを股間にぶら下げた父さん。


「父さん!?一体何してるんだよ!」
「ああ……安心しろただの朝勃ちだ」
「俺見ただけで勃たせないでよほんと死ねばいいのに……」


母さんの衣服は心なしか乱れているような気がした。元から乱れてたのか父さんに乱されたのかはわからない。ただ、俺が今何をするべきか。それだけはわかる。
母さんを庇うように間に入り、父さんと対面する。数十センチある身長差も今だけは有利だ。
俺は後ろ手に隠し持っているものをぎゅっと握り直す。母さんが後ろで息を飲むのがわかった。


「この……自重しやがれエロ親父ィィ――!」
「――ッ!?」


持ってたフライパンで父さんの股間を強打する。さすがの父さんも急所は効いたのか股間を押さえて踞った。


「母さん、大丈夫だった?」
「静也……けっこうえげつないことするんだねぇ……」
「母さんを守るためならなんだってするさ」


フライパンを父さんに投げつけて、俺は母さんに手を差しのべた。










藤紫さまに捧げます。





 



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