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静臨/微裏/来神/モブ表現有










油断していた。まさかこんなことになるとは思わなかった。後悔しても何にもならないとわかってはいるけれど、後悔せずにはいられない。

上級生に告白された。それはいつものことだった。いつもなら振ってすぐおしまいだったけれど、今回は彼をからかって人間観察をしようと少し遊んでやった。もちろん最終的にはこっぴどく突き放すつもりで、現についさっき実行してきたところだ。それで本当におしまい。おしまいのつもりだった。

しかし、だ。すると彼は襲いかかってきた。
「ふざけんな」「なんのつもりだ」「この淫売が」「ヤらせろよ」
そんなことを叫んでいた気がする。どうして淫売とまで呼ばれるのかわからないけど、彼の目に俺はそう映ったんだろう。

もちろん軽く撒くことはできた。いつもなら。今回に限ってそのいつもはことごとく通用してくれなかった。
彼と会うまでにシズちゃんと遊んでいて俺は足をくじいていた。頼みのナイフもちょうどシズちゃんに全て叩き折られていた。

何とか逃れ走っているけどその度に足が痛む。見なくても腫れているのがわかった。
足の感覚がなくなってきて、近くの空き教室に入った。
このまま彼がいなくなるまでやりすごせばいい。まるでかくれんぼだ。教卓の下に身を隠した。

「うーん……ちょっとまずいかな」

ドタチンあたりを呼べば助けてくれるだろう。しかし開いた携帯の液晶は真っ黒だった。充電が切れていたらしい。電池パックも他の携帯も鞄の中だ。なんで教室においてきてしまったんだろう。今日はとんだ厄日だ。

この教室は二階。俺なら飛び降りても平気だろうけどこの足じゃ厳しいかもしれない。これからどうしようかと考えあぐねているうちに、引き戸の開く音がした。来て、しまった。

「折原さん……?ねえ、ここにいるの……?」

いない。いないから帰ってくれ。必死で息を殺し耐える。足音が近づいてくる。ああ、そういえばここにいたら逃げ場がないじゃないか。全く、もう。

「みーつけた」
「ぅあっ!?」

足を引っ張られ無理矢理教卓の下から這いずり出された。痛みに呻く俺に覆い被さって彼は笑う。笑いながら俺のセーラー服を裂いた。

「や……やめろ!誰があんたなんかとヤるか!」
「誰にでも股開くくせに何言ってんの?一発ヤらせてくれたらなかったことにするからさぁ、黙って喘いでろっての!」
「ひ……っ!」


下着の上から胸をまさぐられた。誰にも触らせたことなんてないのに。

「見た目よりけっこうあるんだ……優しくしてやるからさ、いいよな……」
「いやだ!いや……っいやぁああ!」

手が俺の太ももをなぞる。指がだんだん上へあがり割れ目をなぞった。もう駄目だと諦めが生じていた。
そのとき、頭上を机が飛んでいった。……机が?

「おい……学校はラブホじゃねえって知ってるか……?」
「へ、平和島……っ」
「潰す!」

激しい怒声のあと、1分もしないうちに俺を犯そうとした輩はものの見事に叩き潰され逃げ出していった。何だか少し複雑だった。

「まだ学校にいたんだ?まさかシズちゃんに助けられるなんて思ってなかったよ……。見返りは何?お金?それともあいつの代わりに君が俺を犯す?シズちゃんが無償で俺を助けてくれるわけないもんねぇ」

シズちゃんの手をとり俺の胸に押し付ける。さっきの男よりも温かく大きな手だ。

「いいよ?シズちゃんに借りは作りたくないしね。俺の体好きにすれば……」
「泣きながらそんなこと言ってんじゃねえよ」
「……は?」

泣いてる?俺が?目元に指をやれば確かに濡れた。なんで泣いてるの。シズちゃんの前で。
止めようと思ってるのになかなか涙は止まってくれなかった。

「怖かったんだろ。犯されそうになって。借りとかそんなこと言ってねえで素直によかったって思えよ」

自分のブレザーを脱いで俺に被せてくれた。こんな優しいシズちゃんなんて俺は知らない。

「なんで……助けてくれたの。ほっとけばよかったのに」
「犯されそうな女ほっとけるかよ。それに……」
「それに?」
「好きな女がそんな目に合ってもいいわけねえだろうが」
「………………え?」

今俺はとんでもない単語を聞いた気がする。シズちゃんの肩を掴んで激しく前後に揺さぶった。

「ちょ……どういうこと!?好き……とか、君本当にシズちゃん!?」
「そんなにおかしいかよ!あと胸しまえ!」
「だって……」

なんだかもう頭の中が混乱しすぎてて言葉が出てこなかった。何を言えばいいのか、俺としたことが全然出てこない。
やっぱり今日は本当に厄日だ。いろんなことがありすぎてついていけない。とりあえず、だ。

「……ねえ、足くじいて立てないから家まで送ってよ」
「……おう」

答えは家に着くまでに見つけるとしよう。










平野様に捧げます。





 



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